このガイドは、Webサービスやアプリといったプロダクトをつくるためにやるべき基本的なことをまとめたガイドブックです。まだアイデアがない状態から、プロダクトが市場に受け入れられるまでを5つのフェーズでつくっていきます。
このガイドには、具体的なやり方は書いていません。わからないところはセクション内ある関連記事や関連書籍、あるいはGoogleで検索しながら進めることを想定しています。各セクションには架空のプロダクトをもとにしたストーリーを書いていますので、これを参考に進めることもできます。
プロダクトマネジメントの目的のひとつはプロダクトの価値を最大化することです。そのためにやるべきことはプロダクトやチームによってもさまざまで、とても体系化できるものではないと思っています。
このプロダクトマネジメント入門は、たくさんのプロダクトに共通する基本的なプロセスだけをまとめたガイドブックになります。
東京大学Found Xディレクターの馬田隆明氏は『あなたのスタートアップのアイデアの育てかた』の中で、スタートアップにおける4つのフェーズを示しました。
また、株式会社アルファドライブCEOの麻生要一氏は『新規事業の実践論』の中で、創業者が解決する課題に対する原体験化、つまりFounder/Customer Fitの重要性について示しました。
プロダクトは顧客からはじまり、課題、解決策、MVPと検証しながら進めることで、市場に受け入れられるプロダクトにつながっていきます。このガイドでは、次の5つの『Fit』をめざすことで、プロダクトをつくっていきます。
ステップ | 名前 | 意味 |
---|---|---|
1 | Founder/Customer Fit | あなたが誰の課題を解決したいかが定まっている状態 |
2 | Customer/Problem Fit | 顧客がもっとも解決したい課題が見つかっている状態 |
3 | Problem/Solution Fit | 課題に対するもっともよい解決策が見つかっている状態 |
4 | Solution/Product Fit | 解決策を実現するもっともよいプロダクトの形が見つかっている状態 |
5 | Product/Market Fit | プロダクトが市場に受け入れられている状態 |
スティーブ・ブランク氏は『アントレプレナーの教科書』の中で、リーンスタートアップの根幹となる考え方である顧客開発モデルについて提唱しました。またMVPの概念を定義しました。エリック・リース氏は、『リーン・スタートアップ』で顧客開発モデルと従来のアジャイル開発を組み合わせて抽象化し、リーンスタートアップという手法を確立しました。
アッシュ・マウリャ氏は『RUNNING LEAN』でリーンスタートアップの実践的なプロセスを体系化しました。リーンキャンバスでアイデアを整理し、これをもとに課題、解決策、MVPと段階的に検証していく方法をまとめました。
株式会社ユニコーンファームCEOの田所雅之氏は『起業の科学』でアイデアの検証からProduct/Market Fit、その後のスケールにいたるまでのロードマップを提示し、各フェーズでの具体的な手法を示しました。
ニール・イヤール氏は『Hooked ハマるしかけ』で、ユーザの習慣がプロダクトにもたらす価値と、習慣化の手法を体系化しました。note CXOの深津貴之氏は『noteにおけるコア体験と相互作用メモ』の中でグロースサイクル=プロダクトが継続的に成長するための循環図について提唱しました。
このプロダクトマネジメント入門の目次は、上記文献に学ぶところが多くありました。また、ガイドの中においても引用させていただきました。この場を借りてお礼申し上げます。
私は過去にスタートアップを創業し、オンラインプログラミング教育サービスの事業開発に携わりました。このプロダクトは失敗におわってしまいました。
その後、Webエンジニア&プロダクトマネージャとして、上場企業やスタートアップ、受託開発会社、また個人開発などをとおして20以上のプロダクトをつくってきました。あわせて、たくさんの書籍や資料をとおして学びました。この結果、教育サービスがなぜ失敗してしまったのかが、すこしずつ見えてきました。
このプロダクトマネジメント入門は、参考文献や私の経験をもとに書いています。私自身このガイドをもとにふだんの開発に取り組んでおり、また今後も必要に応じてアップデートしていく予定です。
プロダクトづくりに関わるすべての方:経営者やプロダクトマネージャ、エンジニア、デザイナーの方などを読者として想定しています。
このガイドは、次の書籍や資料からたくさんのことを学ばせていただきました。ガイド内で引用しているところについてはその都度出典として明記しますが、ガイド全体にわたり学びを得たものについて、次に示します。