ウェブサービスやアプリのアイデアを出したあとで、次にやることは「そのアイデアを実現する価値は本当にあるのか?」を検証することです。アイデアの価値を検証する方法のひとつにユーザーインタビューがあります。ただ、いつでもインタビューできるわけではありませんし、特定のユーザーの声ばかり聞いてしまうとプロダクトに偏りができてしまいます。
ユーザーインタビュー以外の方法として、ペルソナという仮想的なユーザー像をとおして検証するやりかたがあります。この記事では、ペルソナとはなにか、またペルソナのつくりかたについて示します。
テクニカルライター。元エンジニア。共著で「現場で使えるRuby on Rails 5」を書きました。プログラミング教室を作るのが目標です。
ペルソナとはなにか
ペルソナとはプロダクトがターゲットとするユーザーの属性をもった、仮想的なユーザー像のことをいいます。たとえば下の図のように、1枚の画像にユーザーの情報をまとめたものがペルソナです。
ペルソナは名前や年齢、性別、職業や写真などから構成されます。ほかにも、たとえばファッション関係のプロダクトをつくるなら、ファッションにかけるお金は月にいくらか、どういうファッションが好みか、といったプロダクトに応じた要素もふくまれます。
なぜペルソナをつくるのか
プロダクトの企画や開発をしていると、どうしても主観的なアイデアが出てしまいます。長く開発していると固定観念にとらわれ、ユーザーの視点が失われがちにもなります。このアイデアをユーザーならどう思うか?という客観的な判断をするには、ユーザーの考えを知るしかありません。
ユーザーインタビューでユーザーの声を直接聞ければいいのですが、いつでもインタビューできるわけではありません。インタビューの前にできるだけアイデアの精度を高めておきたいのも事実です。こういったときにペルソナが役に立ちます。
ペルソナをとおしてアイデアを考えてみる、つまりペルソナになりきって「このペルソナならこのアイデアをどう思うか?」を考えることで、アイデアを客観的に見ることができます。これがペルソナの役割です。ペルソナはプロダクト開発のプロセスにおいていろんなシーンで役に立ちます。
ペルソナを構成する要素
ペルソナは、ユーザーになりきってものごとを考えるためにつくります。つまりユーザーになりきるのに必要な情報があればいいことになります。決まったフォーマットはありませんが、たとえば次のような要素を入れるとよいでしょう。
名前、年齢、性別、写真、出身地、居住地、職業、趣味、性格、特徴、一日のスケジュール
一日のスケジュールは、ペルソナのふだんの過ごし方を設定します。こうすることで、一日のどのタイミングでプロダクトを使うのか、どんな使い方をするのかがイメージしやすくなります。そのほかにも、プロダクトに応じて要素を追加します。たとえばファッション関係なら毎月ファッションにかける金額などです。
ペルソナのつくりかた
ペルソナは、プロダクトがターゲットとするユーザーをモデルにします。前述したペルソナの構成要素を、「こんな人ならプロダクトをつかうだろう」とイメージした上でペルソナをつくります。ペルソナはひとりではなく複数人分つくると多角的な見方ができるのでよいでしょう。
プロダクトのアイデアを出した段階では、ペルソナは想像でつくることしかできません。ただ、企画が進みユーザーインタビューを繰り返す中で、ペルソナがどういう形であるべきかがどんどん見えてきます。ペルソナの要素は随時更新していきましょう。
また、ペルソナの名前や住所などが思いつかないことがあると思います。そのときはダミーの個人情報を生成するウェブサービスなどを利用するのも手です。写真も無料で利用できるサービスがあるので、検討してみましょう。
まとめ
ペルソナはプロダクト開発において、アイデアを客観的に考えるために重要なツールです。客観性がないとプロダクトに一貫性がもてず、使いづらいものになってしまいます。ペルソナをつくったら、エンパシーマップやカスタマージャーニーマップなどをつくりペルソナを補強するやりかたもあります。これについては、次の記事をご覧ください。