プロダクトマネジメント

アイデアのリスクやニーズを明らかにする『PEST分析』のやりかた

Webサービスやアプリをつくるとき、そのアイデアが政治的、あるいは技術的な理由で実現できないかもしれません。たとえば『医薬品のレビューサイトをつくりたい』と思っても、医薬品に関する口コミの投稿は薬事法により禁止されています。

アイデアを実現する上でのこういったリスクは、PEST分析により明らかになります。PEST分析はアイデアを外部環境——つまり政治・経済・社会・技術の4つの面から評価し、リスクやニーズを明らかにします。

この記事ではブロダクト開発におけるPEST分析について、概要や目的、分析方法について示します。

PEST分析とはなにか

PEST分析

PEST分析とはアイデアが外部環境の中でどう置かれているかを評価し、実現に向けたリスクやニーズを明らかにするフレームワークです。プロダクトのアイデアを政治、経済、社会、技術という4つの観点で分析します。経営学者のフィリップ・コトラー氏によって提唱されました。

アイデアをブロダクトとして実際につくりはじめる前にPEST分析を行うことで、アイデアのリスクやニーズを知ることができ、開発の戦略に役立てることができます。

PEST分析を行う目的

PEST分析はアイデアが実現可能かどうか、不確実なものはなにか、ユーザのニーズなどを総合的に評価するために行います。

たとえばあるアイデアを思いつき、そのアイデアが解決しようとする課題をもっているユーザの存在も検証できたとします。ここまできたら、あとはどうつくるか——という考えになってしまうかもしれません。

ただ、その前にこのアイデアが実現可能かどうかを評価する必要があります。

実現が困難なアイデアの例

たとえば『効果のある市販薬はどれかがわかりづらい』という課題を解決するために『市販薬のレビューサイト』という解決策を思いついたとします。ユーザにインタビューして、課題や解決策も問題ないことがわかりました。

ただ、市販薬に対する口コミは平成26年6月12日に施行された改正薬事法により禁止されているのです。つまり政治的な問題により、このアイデアは実現できません。

正確には法律を変えるなどの活動をすれば可能かもしれませんが、ちょっと現実的ではなさそうです。

アイデアの成功を裏づける要素

逆に、これまで禁止されてきたことが解禁される、あるいは解禁に向けた動きがある、ロビー活動でなんとかなるかもしれない、といったことが明らかになるかもしれません。

社会的な面では、共働きがふえた結果としてベビーシッターサービスなどの子育てを支援するサービスへのニーズが強くなっています。

このように、プロダクトは外部環境の影響を大きく受けることになります。PEST分析は外部環境を分析することで戦略に役立てるために行います。

PEST分析のやりかた

それでは、PEST分析のやりかたについて示します。

やることはシンプルで、1枚の紙を4つのブロックに分けます。それぞれ政治経済社会技術の領域で、アイデアがこれらにおいてどういう状況に置かれているかを書き出します。

それぞれの考え方について示します。

政治

  • 法律や条例で禁止されていないか
  • 規制または緩和に動いていないか
  • 補助金や交付金の制度はないか
  • 海外向けのアイデアの場合、相手国との関係は影響ないか

経済

  • 景気動向の影響はないか
  • 賃金や金利、物価、為替の影響はないか

社会

  • 関連する社会のトレンドはないか
  • 人口問題や働きかた、宗教の影響はないか

技術

  • 技術的に実現可能か
  • 特許上の問題はないか

書き出す上で重要なことは、変化に着目することです。変化が起きたタイミングで実現可能性やユーザのニーズにも変化が起こり、アイデアにも大きな影響を与えます。

また分析は事例やデータをもとに客観的に行います。アイデアのかわいさゆえにアイデアを裏づける情報に目が行きがちですが、根拠をもとに分析します。

いつPEST分析をするか

PEST分析はアイデアの解決策を検証する前に行います。

プロダクトをつくるとき、まず大まかなアイデアが出ます。このアイデアを課題と解決策に整理し、ユーザインタビューをとおして検証します。PEST分析は、この解決策の検証の前に行います。

なぜなら、たとえユーザインタビューで解決策が優れていることがわかっても、実現できなければ意味がないからです。実現可能性を評価した上で、問題がなければインタビューにのぞむようにします。

まとめ

PEST分析は、アイデアを政治、経済、社会、技術の4つの外部環境に対して分析し、アイデアのリスクやニーズを明らかにするフレームワークです。

アイデアの解決策を検証する前に行うことで、効果的にプロダクト開発が行えるようになります。

著者
ぜに/Hiroki Zenigami

Webエンジニア&プロダクトマネージャ←プログラミング教育で起業←東大院←熊本高専。 共著に「現場で使えるRuby on Rails 5」。

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