ウェブサービスやアプリを開発する上で、ユーザーのことを理解するために役立つフレームワークとしてエンパシーマップがあります。共感マップともいいます。エンパシーマップと同じ目的のフレームワークとしてペルソナがありますが、ペルソナだけだとユーザーがなにを考えどう行動しているかまでは読みとれません。
エンパシーマップは、ユーザーの感情や行動を整理することで、より深くユーザーを理解することができます。この記事ではエンパシーマップとはなにか、必要性やつくりかたについて示します。
テクニカルライター。元エンジニア。共著で「現場で使えるRuby on Rails 5」を書きました。プログラミング教室を作るのが目標です。
エンパシーマップとはなにか
エンパシーマップとはユーザーの感情や行動を整理することでユーザーのニーズを深く理解するためのフレームワークです。XPLANE社により考案されました。エンパシーマップは、ユーザーがとある課題に対して見ていること、していることなど6つの項目で整理することでユーザーの感情を理解するためのフレームワークです。
エンパシーは共感という意味で、ユーザーに共感することでユーザー視点でものごとを判断できるようにする、という目的があります。
なぜエンパシーマップが必要か
エンパシーマップはユーザーの視点でものごとを客観的に判断するために必要になります。プロダクトを企画したり開発する中で、戦略や機能についていろんなアイデアを出すことになります。「自分ならこう思う」「ユーザーならきっとこう思うはずだ」という観点でアイデアを出しますが、どうしても主観的なアイデアになりがちです。
長くプロダクトに関わっていればいるほど、この問題に陥りやすくなります。エンパシーマップをつくることで、ユーザーに共感し感情を理解できるため、戦略や機能のアイデアを「ユーザーならどう考えるか」、客観的な判断ができるようになります。
どうやってエンパシーマップをつくるか
エンパシーマップをつくるには、あらかじめリーンキャンバスとペルソナをつくる必要があります。エンパシーマップは、ユーザーを理解するためのフレームワークです。ここでいうユーザーとはペルソナのことをいいます。ペルソナに対し、リーンキャンバスで定義した仮説にもとづいて感情や行動を整理していきます。そのため、エンパシーマップをつくる上でリーンキャンバスとペルソナがあることが前提となります。
ではエンパシーマップのつくりかたについて示します。まずはじめに、エンパシーマップの対象となるペルソナの写真を中心に配置します。次に、ペルソナがリーンキャンバスで示したユーザーの課題のある状況におかれたとき、どういう感情をもっているか?どういう行動をとるか?という条件で考えます。この条件をもとに、次の表に示す6つの項目について考え、記入していきます。
順番 | 名前 |
---|---|
1 | 見ていること |
2 | していること |
3 | 聞いていること |
4 | 考えていること |
5 | 悩んでいること |
6 | やりたいこと |
ユーザーの感情や行動について考えるときの注意点として、都合のよい感情や行動を当てはめないことです。エンパシーマップをつくるとき、どうしてもリーンキャンバスにある仮説を成立させるようなエンパシーマップを一方的につくりがちになります。仮説は一旦忘れて、ペルソナならどういう感情をもつか、どういう行動をとるか、ペルソナになりきってつくります。
また、エンパシーマップは一度つくれば完成、というわけではありません。ユーザーインタビューなどをとおしてユーザーのことを理解したら、その都度エンパシーマップを更新していきます。
いつエンパシーマップをつくるか
エンパシーマップは、リーンキャンバスをつくり、ペルソナを立てたあとにつくります。ペルソナはターゲットとなる仮想的なユーザーにすぎず、名前や性別、性格など基本的な情報しかもちません。ペルソナが考えていること、感情を深堀りすることで、よりペルソナのことを理解することができます。
まとめ
エンパシーマップはユーザーの感情や行動を整理することで、ユーザーを理解するためのフレームワークです。ペルソナを立てたあとにエンパシーマップを用いることで、ペルソナをより深く理解でき、ユーザー視点でものごとを判断するのに役立ちます。